(2011/12/30)追記
ある程度家を建てる決意の固まった方にお勧めするのが、大きな図書館に行って「日経ホームビルダー」を数年分読むことです。あまり厚い雑誌ではないのですぐに読み通せると思います。
「日経ホームビルダー」は工務店向けの雑誌で、雨漏りの実際、各種クレームとその対応などが豊富な事例によって紹介されているので、大変参考になります。
何年分か読んでみるとだいたい現場の常識というものがおぼろげながら分かってくると思います。それによって、実際に家を建築するさいに何か希望するとき、どこまでが問題なく実現可能で、どのあたりから危険度が高くなってくるになるのかを把握しておくのは大事なところかと思います。
家を建てるまで
前兆
間取り
土地(10.07.16追記)
工務店(03.10.11更新)
資金計画(04.03.22更新)
暑さ対策(03.08.09更新)
セキュリティ(2003.12.09追記)
構造
バリアフリー
水回り
オール電化(03.12.09更新)
電灯・電源(03.03.17更新)
出窓
建築儀礼
建築中
引き渡し
マンションとの比較(07.09.17更新)
家を建ててから
引っ越し
引っ越し直後
新調したもの(03.04.2更新)
反省点(07.06.09更新)
住み心地(03.08.09更新)
1年前点検(03.07.25更新)
メンテナンス(05.04.23更新)
幼児対策(06.03.19更新)
対流防止用カーテン(04.03.18更新)
2年前点検(04.08.24更新)
アリ(04 .08.24更新)
書斎の換気(04.10.18更新)
床下に潜ってみた(06.11.17更新)
窓用フィルム(12.02.26更新)
これだけは言っておきたい(07.09.17更新)
家を維持するコスト(07.09.17更新)
泥棒のマーキング?(08.06.24更新)
前兆
ニセ伊藤かずえ
以前、NHKの朝の連ドラに「すずらん」というのがありました。いわゆる「女の一生」モノです。
ドラマの中で、ヒロインが富豪の遺産を相続する展開があります。すると伊藤かずえ演じる息子の嫁が浮かれて、夫にマンションや家を見に行こうとせがむのです。
あるとき妻が、伊藤かずえの物マネで、
「あなた、週末にはモデルハウスを見に行きましょう」
と言ったときは、またいつものギャグだと思っていました。が、どうやら本気のようだったのでお付き合いしました。
しかし、家を建てた方はみんなご存じでしょう。モデルルームを見に行くようになったら、その家族は早晩家を建てる運命にあることを。やはり眼の前にモノがあるという威力はすごいです。だから衝動買いなんてことがあるのですが 。
間取りは自分ならこうするなどと考え始めると、もう術中にはまったも同然です。
マイホームが欲しいと思っている奥様方、モデルハウス巡りが第一歩ですので、旦那様をだましてでもモデルハウス巡りに連れて行きましょう。
逆に、家を建てて小遣いが減らされるなんてまっぴらだとお考えのアナタ、モデルハウス巡りには死んでも行っちゃいけません。(追記 ここのところを読んだ妻から、「まるでわたしが家を欲しいばっかりにあなたをだまして連れて行ったみたいじゃない」とクレームがつきました。真実は・・ご想像におまかせします、あっ今背後に妻が立っています。皆さんさようなr・・)
不動産の営業
不動産というのは利幅が大きい商品です。従って脈があると思われたら、営業はものすごくしつこいです。
モデルハウスを見るときには住所や連絡先を書かされます。頑として拒否しても良いのですが、相手の態度の硬化を招いて聞きたいことも聞けないかもしれません。まだ覚悟が決まらないうちは、ニセの住所やニセの電話番号を書く練習をしてから行くのがいいかもしれません。
また、クルマのナンバーさえ分かれば、陸運局で所有者や使用者の住所が分かります。営業によってはそこから住所を割り出します。これの対策としては、ナンバーを見られないような場所にクルマを止めてサンダル履きで行き近所の野次馬を装うか、念を入れて借りたクルマで行くという方法が考えられます。
間取り
ゲームじゃないのよ3DCADは
まだ家を建てる計画が具体化する半年前くらいのことです。
私たちは一家で家電量販店に行ってパソコンソフトを見ていました。妻が「これ買おうよ」と指さしたのが、市販の建築CADでした。パソコンで間取りを作ったら、それを立体化しくれるというものです。本物の家の中を見て回るように、家の仮想空間内を見て回ることができます。
3Dソフトですから、かなりのCPUパワーが必要なのですが、自作パソコンをアップグレードしたばかりでマシンの性能に自信があった私は、ベンチマークを買うようなつもりで承諾しました。思えばその日が、家を建てるということの始まりだったかもしれません。
建築CADには2種類ありましたが、「3Dあっ!とホームプランナー」というのを買いました。たしか、� ��構や照明器具によるライティングのシミュレーションができるというのが、こちらを選んだ理由だったと記憶しています。が、操作がややこしすぎるので、その機能は今まで使ったことがありません。コンピュータのアプリケーションにおいては、よくあることです。
さて、CADをインストールして理想の家を造ってみます。ソフトを立ち上げてみると、ウインドウが左右に2分割されていて、左の2Dエリア(平面図)に部屋をドラッグアンドドロップしていくと、右画面の3Dエリアに自動的に家の3DCGが生成されるという仕組みです。
さて、理想の家ができました。建坪1000坪の平屋です。妻にふざけるなと怒られました。そこで部屋を縦に積んでみました。できた家はとてつもない高度に達しています。・� ��などとバカなことをやっているうちに、なんとなく、ウチの家族が家の間取りに求める要求というものがはっきりしてきました。
台所へのアクセス
そのころ私たちは集合住宅の4階に住んでいました。我が家は子供が三人で、そのうち一人が赤ちゃんです。クルマで出かけて帰ってきたとき、上の子が歩いて部屋に戻ってくれればいいのですが、車内で寝たりしてしまうと大変です。寝てしまうと重い子供を抱えて、四回まで階段を上らねばなりません。一度に抱っこできるのは一人ですので、上の子のどちらかが寝てしまったときには、誰かを一度車内に残しておかなければなりませんので、なにかと心配です。雨でも降っていた日には傘も差せずに悲惨です。そういう経験をしていたので、新居では買い物をして帰ってもすぐ勝手口から入れることが第一の条件になりました。
リビング階段
家を建てようと思ってから、いろいろ参考書を読みました。その中で気になったジャンルの本があります。それは、少年犯罪をおこした家庭の家の間取りには、問題がある、というテーマの本です。問題がある間取りというのは、親と子供との交流を分断するような間取りということです。たとえば、女子高生監禁殺人の犯人の部屋は親と顔を合わせずに出入りできるようになっていたとか、幼児連続誘拐殺人の犯人は、離れに住んでいたといったことです。
もっとも、私に言わせれば、間取りに問題があったにせよ、それが何らかの形で犯罪を引き起こしたというのは言い過ぎで、むしろ、子供のことを気にかけていない親の態度が、間取りに投影されていたと言うべきでしょう。
とはいえ子の親としては、やはり気になるので、これらの本の著者が推奨している、階段をリビングにおくという間取りにすることにしました。階段をリビングにおくと、2階の子供部屋に行くときには、必ず家族の誰かと顔を合わすことになるわけです。
ただ、階段をこのような配置にすると、間取りが難しくなります。階段というものは家の端に寄せた方が空間を無駄なく使えます。階段が中央にあると、スペースに過不足が生じがちなので、この問題の解決にはものすごく苦労しました。
また、冬になるとリビングの暖気が二階へ上がってしまうので、暖房効率が悪くはなります。とはいえ、当地では寒い期間はごくわずかなので、これには目をつむることにします。この考えの延長線上で、リビングは出来るだけ心地よくして家族が集まるようにして、個人の部屋は寝るだけ、というコンセプトで間取りを設計しました。
男の砂上楼閣
雨の日でもバイクがいじれるガレージがあるといいなあ。ほら工務店の社長もうなずいてるじゃない、社長もバイク乗りだから。・・やっぱりだめ?
じゃ書斎。今でも本の置き場に一部屋つぶしてるし。OK?やったぁ。
でも窓が一つもなくて、折檻部屋ですかこれは。
子供部屋
実は、工務店と間取りを打ち合わせている途中で、3人目の子供の妊娠がわかったので、子供部屋は後から仕切れるように壁を作らず、壁紙も張りませんでした。
家事室
基本的には、私が作った間取りで工務店との打ち合わせが進んだのですが、一箇所、工務店の提案で追加した部分があります。それは家事室です。私の設計では、勝手口から直接キッチンへ入るようになっていました。これを、まず外からはまず家事室に入るようにして、家事室から更にキッチンに入るようになりました。結果的に物がたくさん置けるし、冬でも外気が直接入ってこないので助かっています。
木造3階建てについて(2010.8.5追記)
近年、木造3階建てが増加しているようです。しかし木造3階建てについてちょっと気になるデータがあります。
2009年10月27日、防災科学技術研究所・兵庫耐震工学研究センター(通称E-ディフェンス)で、木造3階建ての長期優良住宅「耐震等級2」相当の実物大模型を造って、ちょっと強めに揺らしてみたら見事に倒壊してしまいました。
皮肉なことに、比較対象として同時に揺らしたそれよりも弱く造った建物の方が倒壊せずに生き残ってしまいました。
業界紙によると、検査機関は実験直後に実験データを非公開扱いとしてしまったということなので、目論見が外れたであろう関係者の動揺のほどがうかがわれます。
実験結果を子細に見ると一般に報道されているイメージとはちょっと違っているようです。
まず、構造上弱いはずの建物模型の方が倒壊しなかった理由ですが、模型なので基礎までは造っていませんでした。実験では柱脚部が引っこ抜けていますので、実際の建物であれば基礎から躯体が外れてやはり倒壊しただろうということです。
また、倒壊した長期優良住宅模型の設計上、耐力壁の配置に問題があったなどという指摘もあるようです。
さて、この実験から得られる教訓はいくつかあると思います。
1 長期優良住宅などの基準を満たしているからといって、安心してはいけない
2 家の設計はなんと言ってもバランスが重要である
なので、家の設計時にあまり間取りなどで無理を言うと、結果として構造上問題のある家ができてしまうこともあり得るということです。
とはいえ、その家に住んでいる間に大地震は来るかもしれないし、来ないかもしれません。
個人的には来ると思っておいた方が安心だとは思いますが、そのあたりは詰まるところ自己責任ということになります。
工務店
設計と施工
私がお願いしたT工務店は、設計から施工まで一貫して行うタイプです。一般的には、設計と施工を別にして、設計士さんに施工の管理監督をしてもらった方が良いと言われています。両者を一貫して行うタイプは、信用のおけるところであれば、施行段階になってからもかなり融通が利くという利点もあります。
二股三股
家を建てる当時住んでいたところの近所に事務所があったせいもあり、私が家を建てるという情報を知って、T工務店の方から売り込みに来ました。いろんなコネを使って調べた結果、信用できるようだったのでお願いすることにしました。実はもう一社にも間取りなどの提案をしてもらっていたのですが、もう一つだったので、お断りしました。一般的には3社くらいで競わせるようですが、それはそれで断るときが大変らしいです。
経営事項審査
(03.10.11更新) 公共工事などに参加するためには(財)建設業情報管理センターというところで経営事項審査というものを受けなければならないのですが、その結果はネットで公開されています。ある程度の規模の業者のデータはここで見られると思います。どの程度当てになるかは分かりませんが。
資金計画
(04.03.22更新)
資金のめりはり
友人から、「ある程度家の仕様が決まったら、金で済むことなら下手に妥協するな」というアドバイスをもらいました。そのとおりなのですが、だれしもカネは無尽蔵にあるわけではないので、外構や家具、照明、カーテンなども含めてトータルでいくらかかるかを見積もって、どことどこをトレードオフしていかなければならないかを判断していきましょう。ちなみに今挙げた4つについては、自分でやったりディスカウントストアやネット通販でそろえたりすればかなり安く上げることができます。照明器具などは住設用と一般販売用はカタログからして違います。比べてみたら型式の系列なども別になっているようです。
元金均等払い
資金は住宅金融公庫から借りました。金利の他に、元金均等払いができるのということが理由です。元金均等払いだと、最初はきついけれども、元金が徐々に減っていくので、だんだん支払額が少なくなって行きます。年々給料が下がっている現状では、こちらの方が現実的かなと思いました。利息の支払額もトータルでは少なくなります。
住宅ローンの証券化
(04.03.22追記) 住宅金融公庫改革の一環として、住宅ローンの証券化が解禁になりました。
この仕組みは簡単に言うと、住宅金融公庫が銀行などから債権を買い取り、分割して保障を付けた上で投資家などに売り出すものです。家を建てようとする側のメリットとしては、固定金利でローンを借りられるということがあります。
現状では非常な低金利が続いているため、銀行はあまり住宅ローンの証券化には乗り気ではないようです。もっと金利は上がるとにらんでいるので、現在の低い金利で固定して貸し出してしまうと損だと思っているのですね。
しかし、都市銀行などでは証券化ローンを積極的に売り出しているところもあるので、選択肢の一つにしても良いのではないでしょうか。
デメリットとしては、万一ローンを支払えなくなったとき取り立てが厳しくなるのではないかという観測もあるようです。
土地
選択
土地については、選択の余地がありませんでした。両親の家のそば、という条件が決まっていたからです。2世帯住宅も考えないではなかったのですが、親世帯と子世帯は生活のサイクルが全く違うということなどがあります。人からも、2世帯住宅は何かと大変だと聞いていました。そこで、無駄なようですが2軒の家に住んだ方がいいだろうという判断で、別な敷地に家を建てることにしました。
映像資料
土地が決まってからは、カメラの36枚撮りフィルム1本使って、あらゆる場所から写真を撮っていきました。敷地から見える風景のパノラマ、四方から見た敷地、境界線、配管や排水口の位置などです。これは敷地の配置計画を立てるとき必須です。
利便性と安全性
これは土地を選ぶ時の一般的な注意点なのですが、古い住宅地などでは、住宅地の中が大通りのバイパスやショートカットとして使えるようになっていることがあります。これは住宅地の中の細い路地を、よそ者のクルマが飛ばしていくことになるので、非常に危険な状態と言えるでしょう。とくに小さい子供さんがいるようなところでは注意が必要です。
最近開発された住宅地であれば、その辺が考慮されているようです。大通りからわざと直接入れないように道路を設定してあったり、袋小路にしてあったりします。一見不便なのですが、この方が安全です。
便利さと安全はトレードオフの関係にあるのです。
土地の相場
(03.10.22更新)
土地や建物の相場の参考には、2003年10月に開設された全国13万社が加盟する不動産流通4団体が運営している不動産ジャパンなんてサイトもあるようです。
と言っても南向きかどうか、角地かどうか、大きな道路とのつながり具合、交通の便などによって、隣り合った土地でも値段は違ってくるので難しいのですが。
土壌
(10.07.16追記)
なお、宮崎平野の土壌には硫酸塩が含まれていて、コンクリートを腐食させるようです。(九州建設技術交流会のサイト「硫酸性地盤における基礎コンクリートの劣化について」参照(PDF))
昭和40年代だか50年代だかに建て売り住宅の基礎が消失するという事態が相次ぎ、調査を行ったところ土壌の酸性度が強いことが確認されたのだと聞きました。
今日では基礎を作る前に防水シートを敷くので心配はいらないようですが、この辺で手抜きされると大変なことになるようです。
暑さ対策
冒頭に書いたように、私が住んでいるのは暑い地方なので、建てるとしたら構造的に暑さ対策を施した家でないといかんと思いました。私は暑さには強い方です。炎天下に無帽で2、3時間歩き回っても平気です。しかし、私の妻と子供が暑さに弱いのです。暑い家を建てた暁には5月から11月まで毎日クーラーをかけ続けて、莫大な電気使用量が請求されることでしょう。(ここのところを読んだ妻は不服そうでしたが。)それに私だって暑いより涼しい方がいいに決まってます。